Suzu Masa ブログ

辛酸なめた男が美容室「経営」をリアル・ガチで語る

コロナ後のビジネスシーンを俯瞰してみる

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 コロナ禍という意味を考える

 

コロナ禍の渦中にあって、コロナ後を考えるなんて、とてもそんな余裕はない。今は生きるか死ぬかの瀬戸際なんだ。そんな悲鳴が聞こえてきそうです。

 

もちろん、承知しています。事業をたたんでしまうという選択をした人(はたしてどのくらいの人が廃業を選ぶでしょうか? 平成30年10月の第3回厚生科学審議会生活衛生適正化分科会の発表によると、「後継者がいない」と答えた人は78.2%、今後の経営方針で「廃業」と答えた人は16.2%)以外は生き延びることを想定し、生き延びたからには、その後の事業の永続性を願っているはずです。

 

そんな前提のうえでお話をしたいのですが、コロナ終息後にあれこれと思いを馳せるよりも、渦中にある現在だからこそ、このコロナ禍から学ぶべきことがあると思うのですね。

 

はたして、リーマンショック時や東日本大震災時を超えて、100年ぶりの世界大恐慌に匹敵するといわれるこのコロナ騒動がもたらした意味を考えてみたいのです。

 

そんなだいそれたことを、と思われるでしょうね。でも、だいそれたことだからこそ、その意味を考えてみる。人類にもたらしたコロナ禍は何を意味しているのかと。私たちは、このとき、この場所を共有して、等しく新型コロナウイルスの問題に直面しているわけです。その意味することはなんなのか、そこから学ぶべきことは一体なんなのかを真剣に考えてみる。でないと、時代の大きな転換期を見誤って、私たちは二度と再び立ち直れない。そんな思いに駆られるのです。

 

私自身、今まで培ってきた、2万冊以上の読書がもたらした知識と読書体験がもたらしてくれた想像力、女性誌経済誌・一般書籍(なかでも池田満寿夫著『女の原色図鑑』、浅井隆著『NTTが核攻撃される日』、私の著作『出逢いをありがとう!』などのヒット作、ベストセラー本を編集・出版)・モータースポーツの最高峰F1の専門誌・明治以来100年以上続く食の専門誌といった多方面での編集者としての実績と、怖(お)めず臆せず、勇敢に理美容の経営専門誌出版の創業にチャレンジして、失敗して、人生の辛酸をなめつくしたうえでの利害得失、栄枯盛衰を身をもって体験したという、過酷で数奇な運命を送った、そんな私が到達した現在地から、その意味を考えてみたいのですね。

よろしければお付き合いください。

 

まず、コロナ騒動がもたらしたものは、前回のブログ「継続するのも撤退するのも、そろそろ決断の時」でも述べましたが、パラダイムシフトです。

前回は4つのパラダイムシフトを紹介しましたが、その続編となります。前号とあわせお読みください。

 

経済優先から「命」優先へ

【5】パラダイムシフトその5

まさにその通りの事態です。武漢ウイルスの感染拡大が言われているなかで、中国からの観光客を入国制限せずに放置していました。インバウンド消費を期待して、つまり経済優先だったのです。オリンピックだってそうですね。経済優先でぎりぎりまで感染者のPCR検査を控えていた。すべては初期対応の拙さが遅れ遅れの対応となり、やっと国民の声に押されて、経済よりも命優先の措置が取られるようになりました。

まずは「命」優先、その次に「生活」優先。経済はそのあとの優先順位という、当たり前のことに気づいたのです。時すでに遅しの感がありますが。

 

こんな西欧の童話があります。あるとき悪魔が村にやって来て、一番大切なものだけ残してやる、他のものは根こそぎ奪ってしまうから、今夜中に一番残したいものを選んで申告するようにと悪魔は村人に告げました。

一番大切なものは、ある者はお金であり、ある者は家や土地、ある者は家畜といってそれぞれ悪魔に申し出ました。

あくる朝、ひとりの少年を残して、村人たちは誰もいなくなってしまいました。唯一残った少年が一番大切だと申告したもの、それは「命」だったのです。

 

命さえあれば、また頑張ってお金は稼げるし、家も建てることができる、家畜も買いだめして畜産の仕事ができる。そんな当たり前のことを、欲にくらんだ大人がわからずに少年だけがわかっていたというお話です。

 

今回のコロナ禍はその話を思い出させてくれました。

まず、何がなんでも命を守ること。それを政府の政策の最優先にすること。しかし、緊急融資(融資実行が2カ月先)や雇用調整助成金の手続きの煩雑さや実行までの長い時間がかかってしまっていて(雇用調整助成金に関しては、4月17日の速報値では問い合わせ件数11万8000件、支給決定はわずか60件)、その間に中小企業はバタバタと倒産してしまいます。倒産すれば雇用も守れません。失業者が溢れ、過去の例からも明らかですが、自殺者が急増します。

今の政府では、命さえ保障の限りではないのです。命と生活と経済のトリプルパンチに見舞われているのです。

 

まず命を守るために、休業補償をすること。休業補償とは、休業中に失われる粗利益の補償をすること。原資は国債の発行です。先の太平洋戦争では戦時国債を発行しました。今は戦時に匹敵する緊急事態なのです。自国通貨建ての国債はいくら発行しても国はデフォルト(破産)しない。これがMMT(現代貨幣理論)の常識です。

そして、コロナ禍が終息した後には、消費税を実質ゼロ%にすること。これで経済はV字回復します。

でも、今の政府では無理。欧米のようにスピード感を持った手厚い支援が企業にも家庭にもありません。プライマリーバランスという古典派経済学に支配されている財務省が、スピード感を持った財政出動など「うん」とは言いません。よってコロナ終息後は、日本は経済でも三流国に落ち込んでしまうのは明らかです。

 

 

政治がアテにならないとして、では、私たちに何ができるか? 廃業を選択しないのであれば、休業するのであれ時短で営業を続けるのであれ、資金繰りをなんとか工面して耐え忍ぶしかありません。

 

新規の集客はまず期待できませんから、新規の集客サイトに広告を載せるのをやめること。契約でそれができないのであれば、契約更新時を待ってやめること、あるいは契約内容を引き下げて掲載料金を削減すること。

これで集客のシーンはガラリと変わります。おそらく集客サイトそのものが成り立たなくなってしまうでしょうね。運営側だけ潤って、広告主であるサロンが割を食う。こんな不公平なビジネスが長続きするはずがありません。これがコロナ禍がもたらす冷酷な現実です。事実、ホットペッパービューティーを発行するリクルート社は4000億円の緊急融資を大手銀行に求めているほどです。

 

むしろ、集客サイトに依存するのではなく、自前の方法で集客を仕掛けること。同時に、既存客との関係維持をはかることに集客の力点を置くこと。これが集客方法の大きなシフトチェンジとなります。

 

収奪の経済から分かち合いの経済へ

【6】パラダイムシフトその6

経済のグローバリズムは世界中のサプライチェーンを生み出し、同時に、数%の金持ちと圧倒的多数の貧困層といったように、富の集中と経済的な格差拡大を生み出しました。

 

途端に手に入りにくくなったマスク騒動を見てもわかるように、コストの安い中国でマスクは生産されていて、中国の工場が生産ストップしている影響で日本国内に製品が入ってきません。これがサプライチェーンの危うさです。パソコンでもスマホでも、クルマでも各国に生産工場が分散しているため、こういう事態に陥ると生産工場の稼働がストップして安定的なモノの供給が途絶えてしまいます。

おまけに安倍首相の肝いりで各家庭に2個のマスクが配給されますが、これもどういう論理か海外の工賃の安い工場で生産され、髪の毛がついている、黄ばんでいる、洗濯したらボロボロで二度と使えないなど、製品の劣化ははなはだしいことになっているようです。

 

これがサプライチェーンを産み落としたグローバル経済の危うさというもので、今回のコロナ禍がそれをはっきり証明してしまいました。

 

自国で消費する物は自国で生産する。とくに食料の自給率が4割にも満たない日本では、食料の輸入が滞れば、食糧難となり、現実的に飢餓状態に追い込まれてしまいます。

コロナの感染拡大を防ぐため、各国が争うように国境を封鎖、外国からの人の流入をブロックしていることが、グローバリズムの限界を示す象徴的な出来事となっています。

 

ましてインバウンド消費を期待した百貨店やホテル旅館、旅行会社、航空会社が大打撃を受けていて、事実、それらの産業では倒産が続出しています。日本の航空会社でナンバー2のシェアを誇るANAは1兆円規模の緊急融資を申し込むほどに業績は悪化の一途をたどっています。

 

業界でもインバウンド消費に商機を見出して、中国人観光客を中心に対応を急げと喧伝されていましたが、もうそんなことは誰も言わなくなりましたね。

 

理美容業こそ内需産業の典型です。まして地域密着です。せいぜい半径500メートルから1キロ程度の小商圏で成り立つビジネスです。その原点に返れ、ということです。

ここでもう一度、大手集客サイトの新規リピート率に目を向けてほしいのです。せいぜい20%程度のリピート率です。これを5回繰り返せば、その商圏で新規客はいなくなってしまいます。だから市場を無視してまでクーポンを乱発して新規の集客に精を出す。

 

これでは小商圏のビジネスは成り立ちません。小商圏でいかに安定的に固定客のリピートを確保し続けるビジネスへと転換をはかるか。これが今、求められていることです。ビジネスの原点であり、それはそっくりそのまま集客の原点でもあるのです。

 

ですから、その商圏でのマーケットシェア1位を狙うという収奪のビジネスではなく、わかりやすく技術メニューに限って言えば、あるお店はカラーが得意、あるお店はカットが得意、あるお店は縮毛矯正が得意、またあるお店はパーマが得意、あるお店は増毛が得意といったように、特定の分野に突出してビジネスを展開する(ポジショニング)。お客様はその得意の分野ごとに必要に応じてお店を選べばいいのです。そこには分かち合いのビジネスが生まれます。お客様を奪い合うことなんて強欲なビジネスの介入する余地は皆無となります。

 

こういう生き方、ビジネスのあり方が求められるようになります。相田みつをさんの言葉に「奪い合えば足らぬ。分け合えば余る」という名言があります。まさにそういった美容室同士の分かち合いのビジネスシーンが、あちこちの商圏に生まれるものと思われますね。

 

以上は技術メニューに限ったことですが、これ以外に接客や素敵なライフステージへのお手伝いなど、ポジショニングは多岐にわたります。だから生き残りの方策として、今から得意の分野に経営資源を集中投下することです。

 

依存から自立と連携へ

【7】パラダイムシフトその7

もうおわかりだと思いますが、集客を1つの巨大サイトに依存するのではなく、それぞれのサロンが独自の集客方法を編み出すこと。そこには集客の主力として既存客との関係維持・強化が大事になってきます。

既存客との関係維持は当然のことですが、サロンごとに独得の方法があります。なぜなら、既存客とは、あなたのお店の〇〇が気に入って通って来ているお客様のことをいうからです。〇〇に当てはまる言葉はそれぞれのお店の独自のものです。

それぞれが自立しているのですね。ここのポイントはとても重要です。

 

そして今回のコロナ禍ではっきりしたことは、経営者に依存するトップダウン型の経営ではなく、スタッフが1人ひとり自立しているボトムアップ型の組織はとても強いということです。1人ひとりがお客様との関係づくりに創意工夫していて率先して関係づくりを行っている。しかもサロン全体のミッションにのっとって。こういうサロンは本当に強いです。

 

経営者のなかには、今回のコロナ禍で、固定費である人件費に苦しみ、いっそのこと業務委託を選択する人も出てくると思います。

しかし、それではミッションを共有することが難しくなります。バラバラの個人が稼働しているだけで、利用客にとっては必ずしも居心地のいい空間と時間とはなりません。

儒教の最高経典と言われる四書のひとつに孟子があります。そのなかにこういう一文があります。

 

「天の時は地の利に如(し)かず、地の利は人の和に如かず」

 

つまり、天の時とはタイミングのことで、物事を始める好機というわけですが、この天の時は地の利に及ばないというわけです。地の利とは、サロンの場合なら最適立地ということで、立地の好条件には及ばない。しかし立地の好条件は人の和に及ばない。そういう意味です。

人の和こそ最強なのですね。ですから、人の和を形成できるのは、おしなべて「正社員」に限ります。1つのミッション(なんのために自店は存在しているのか?を言い表した端的な言葉)を掲げ、一致団結できて初めて人の和が出来上がるのです。

 

理美容室の業務は、人によって始まり、人によって継続し、人によって終了する。つまり、人の和(チームワーク)こそ最大のウリものであり、今回はそれを腹の底から学んだことと思います。

 

一極集中から分散へ

【8】パラダイムシフトその8

今回ほど大都市への一極集中がいかに脆いものか、学んだと思われます。人・物・金の一極集中がコロナの感染拡大におおいに寄与しました。ここに首都の直下型大地震が襲ってきたら、日本経済は壊滅的な打撃を受けます。

 

今回の都道府県の首長の対応は中央政府にまったく欠けているリーダーシップとスピード感があります。国に任せておけないと、独自の休業補償を打ち出し、なかには報酬を返上したり、削減したり、予算が限られているなかで果敢に地方の命を守ろうとする姿勢は評価できます。

資産形成の鉄則に、資産は分散して投資せよというのがあります。経済もまったく同じです。

サプライチェーンの危うさから、自分の国は自分で守ることへの転換。地方の生産工場の着工が増えるはずです。すると地域経済が活性化して地元へ人が戻ってきます。分散型経済へ移行すると思います。いや、分散しないと日本経済は持ちません。

 

等価交換の追求から等価交換と贈与へ

【9】パラダイムシフトその9

経済活動は価値の等価交換で成り立っています。あなたのカット技術が5000円とするなら、5000円の価値を認めて顧客はそのお金を投下します。こうやって5000円という価値の等価交換が成り立つわけです。

 

しかしながら、ここに競争の原理が働いて、より安くサービスを提供するという価格競争が勃発します。グローバル経済が格好の見本で、より安い原価を求めてサプライチェーンが世界中に進展していきます。その限界をいみじくも露呈させてしまったのが、今回のコロナ禍です。

 

サロンも同じ理屈で進展します。より安いサービス価格のほうへ人が流れ、薄利多売が常態化していきます。すると、価格競争は最終的に従業員の給料にはね返ってきて、全産業で最低レベルの賃金額へと行き着きます。最大の犠牲者は理美容室の従業員です。

やがて価格の低下は質の低下を導き、業界全体の価値の低下へと行き着きます。

 

理美容業のような技術スキルの蓄積と労働集約型のビジネスにとっては、薄利多売は禁じ手です。一部の業者だけが潤い、他は圧倒的な敗者しか生み出しません。

 

ですから、「パラダイムシフトその6」で述べたように、互いに得意技を持つことです。その得意分野には競合が存在しませんから、オンリーワンの事業が展開でき、価格競争とは無縁のビジネスが可能となるのです。

 

そして、これから望まれるものとして、等価交換に加えて「贈与」の価値が飛躍的に高まってくる、そんな確信が持てることです。もちろん価値の決定はお客様に委ねられますが、個々のお客様のために前倒しの提案をすること、し続けること。

 

どういうことかというと、初めに「顧客理解」が前提となります。理解するにはカウンセリングが必須です。きわめて大雑把に言うとするなら、顧客とは問題の解決を求めているのだという原則に立てば、カウンセリングを通じてその人が抱えている問題点を聞き出さなければなりません。

そして、明らかになった問題点を解決するための施術をすることの同意を求めます。一回で解決できなければ、今後の何回かにわたる施術プランを提示して同意を求めます(これで来店時での次回予約が完結します)。

 

人の心理は、問題点を解決した後に、初めて、今までかなえられなかった希望に火が点くのです。「一度、こんなヘアスタイルがしてみたかった」と。これは誰もが通る心理プロセスで、「不快を避けて快を求める」からです。不快=問題点の解決をしてもらった、次は快=今まで秘めていた思いの実現へと心理状態がステップアップするのです。

 

ここに、プロとしての「提案力」が発揮されます。お客様の抱える人生への価値を推し量り、より輝かしいライフステージへの貢献として、プロとして何が提案できるか、が問われることになります。

 

あなたが考えた提案こそが「贈与」になります。こんなにまで私のことを真剣に考えてくれていたんだ、との感動と感謝が、心理学でいう「返報性の法則」、つまり受けた贈与には、その期待に応えたい、お返しがしたい、贈与を受けたままでは落ち着かない、という心理を導きます。最強の絆づくりが形成される秘訣です。

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あなたの提案こそかけがえのない「贈与」

 なぜなら、お客様はあなたのお店にとってかけがえのない存在だからです。かけがえのない、唯一無二の存在だからこそ、そういう認識のもとにプロとして責任のある提案をすること。し続けること。これが理美容業の原点であるからです。原点を忘れた商売は続けることはできません。コロナ騒動で痛いほど身に沁みた教訓ですね。

 

唯一無二の存在である客様に、より良い人生を送っていただきたいがための、プロの伴走者として前倒しの提案をし続けること。そのことの繰り返しが、等価交換から、等価交換を加えた「贈与」であるということの真の意味です。

 

効率性追求から持続可能性へ

【10】パラダイムシフトその10

ビジネスは競争の原理から必然的に効率性を追求してきました。しかし、その結果がどうでしょうか? 自然は修復不可能なほどの壊滅的破壊を受け、地球環境そのものが悲鳴を上げ、回り回って人間の生存そのものを危うくしています。これが効率性を追求していった果ての世界の現状です。

 

近年SDGsエスデージーズ:Sustainable Development Goals)といって、「持続可能な開発目標」が叫ばれています。効率優先の経済活動に「待った」をかける世界的なムーブメントとなって広がりを見せています。

 

私たちの理美容業界も例外ではありません。現在のカラーブームで、洗い流したカラー剤は生活排水として河川に流出され、川や海の環境を汚しています。このまま放置していてよいのでしょか。そんな猛省を強いています。

 

効率優先がおおいに問題があるのは、組織マネジメントにおいても立証されています。

アリの生態学というのがあります。アリの巣を観察していると、エサ集めや幼虫や女王の世話、巣の修繕あるいは他の働きアリにエサをやるなど、働いているアリは2割、それ以外の7割は何もせずにボーっとしていて、残る1割は一生の間、働かないことがわかってきました。よく言われる「2:8の法則」がアリにも働いているようなのです。

 

そこで実験をしてみました。1つは、働きアリばかりを集めて1つのコロニー(巣)を作ります。もう1つは、働かないアリばかりを集めてもう1つのコロニーを作るという実験です。

するとどういうことが起こったでしょうか。2つのコロニーとも、2割の働きアリが現れて、残る8割のアリは何もせずにただボーっとするばかりという結果が導き出されたのです。何度繰り返しても結果は同じです。

 

そこで、アリではなく人の組織にも応用がきく、その理屈は当てはまるというわけです。つまり、仕事のできる、生産性の高い人だけを集めて組織を作っても、同じように、相変わらず生産性の高い仕事をする人は2割に過ぎず、残る8割の人は生産性に寄与する仕事はしない。そんな結果が導き出されるということです。

 

これは何を意味しているのでしょうか? 組織を維持するには、一定程度の働かない、つまり生産性に寄与しない人も必要であるという結論に落ち着くのではないかと。これは私自身、組織を作ってきた経験からおおいに納得することです。

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働きアリはたったの2割

 

つまり、働きぶりの良くない人でも組織を維持させるためには必要欠くべからずの人材なのだという、組織力学の真理を表しているのではないだろうかと。

 

ただし悲観することはありません。あくまでもその組織だけを見て言えることであり、そんな組織でも他の組織とくらべれば、全体的に生産性を高く上げている、あるいは反対に下げているというバラツキが生じます。これまた実証済みのことです。

 

これ以上、深くは追及しませんが、こういう組織の真理があるとだけ覚えておいていただければいいと思います。ただこの真理を応用すれば、生産性の高い人材にはどんどんとハードルを高めて困難な仕事にチャレンジしてもらい、それ以外の人材は、生産性の高い人に、より働きやすい環境を作って応援するという役割分担が求められていると思うのですね。

 

情報技術からリアルなコミュニケーション能力重視へ

【11】パラダイムシフトその11

情報技術の進展は目覚ましいものがあります。こんな状況下では、威力を発揮するのはリモートワークですが、それにおおいに貢献しているのが情報技術です。オンライン会議などの恩恵を受けている人は多いと思います。なかにはECで商品を販売する事業を始めた人もいることでしょう。今年は5Gの導入元年ですから、さらに情報技術の進展は加速していきます。

 

しかしながら、リアルなコミュニケーションにまさるコミュニケーション手段はありません。こんなひきこもり状態を続けていると、実際に人とリアルに会って話をしたいとのやみがたい欲求が起こってきます。リアルに会って話すことこそ、とても貴重な体験だと認識し直したと思います。

 

なぜなら、人は社会生活を営むうえで欠かせない知覚・感情・思考の伝達手段がコミュニケーションであるからです。なかでも、人と人が対面し、相手の肉声を直接聞いたり、相手の顔を直接見て行うコミュニケーションが基本だからです。どんなに好きな異性がいても、オンラインだけでは愛は深まりません。直接会いたい、これが本来の欲求です。

 

少々難しいですが、記号論的解釈に従えば、相補的関係にあるコンテクスト(非言語的な文脈)とコード(言語的な約束)との両者を動員して初めてコミュニケーションは成り立つというわけです。定められたコードだけではメッセージが解読できないとき、コンテクスト(目の動きや表情の変化、ちょっとした仕草など)を読んで相手の真意を読む、これが人間だけが持つ高度なコミュニケーションの真のあり方なのです。

 

このような高度なコミュニケーションの価値が飛躍的に高まってきています。ダイレクトなコミュニケーションができにくくなっている今だからこそ、より顕著です。前回のブログ「継続するのも撤退するのも、そろそろ決断の時」で述べた「パラダイムシフトその4」での「人間性回復」ビジネスのキモとなるところです。

 

 

以上のように、コロナ禍の真っただ中にあり、かつコロナ禍がもたらした教訓から、コロナ終息後のビジネスのあり方を俯瞰(ふかん)してみました。

 

大雑把に過ぎる論旨の展開となりましたが、後は個々の経営者が置かれた状況次第です。どうやってあなたの経営に活かしていくのか、そのブレイクダウンの仕方はさまざまでしょう。

いずれにしても、過去の文脈や方法論では解決策は見出せないほどの大激変の時代を今、経営者として生きています。コロナ騒動の終息後にも生き残っていける、そして継続的発展ができるかできないかは、今のあなたの決断にかかっていると言っても過言ではないでしょう。だからといって、業界内の衆知だけを集めても限界があります。いや、かえって危険かもしれません。視野狭窄に陥るからです。そんなレベルではこの状況に太刀打ちできません。

 

私が敬愛する人物に安岡正篤先生がいらっしゃいます。安岡先生は思考の三原則として次の思考法を示されました。つまり、こういうことです。

 

「第一は、目先にとらわれないで、できるだけ長い目で見ること。

第二は、物事の一面にとらわれないで、できるだけ多面的に、できれば全面的に見ること。

第三に、枝葉末節にとらわれず、根本的に考えること。」

 

現在のような未曽有の危機的な状態のときにこそ、持つべき思考法だと思います。

 

そんな理由から、特別に希望される方には相談を設ける機会を作りたいと思います。

私Suzu  Masaが真剣にお話し、真剣にお答えします。もし、お気に召さない場合は報酬は返金いたします。

ただ、残念ながらリモートでの相談しか今のところお受けできません。オンラインのツール(zoom、ハングアウトなど)を使ったコミュニケーションとなりますが、いつものように下に私のメールアドレスを貼っておきます。「相談希望」とご記入のうえ、メールをお送りください。

 

私の報酬は1時間につき1万円(税別)となります。ご入金確認後のご相談とさせていただきます。

 Masasuzu2811@gmail.com

以上、よろしくお願いします。

 

成功、

常に苦辛(苦心)の日に在り。

敗事、

多く得意の時に因(よ)る。

(いにしえの格言)

 

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初出掲載:2020 年3 月19 日