Suzu Masa ブログ

辛酸なめた男が美容室「経営」をリアル・ガチで語る

継続するのも撤退するのも、そろそろ決断の時  

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日々刻々と政府の方針は変節し、新型コロナの感染者数は増加するばかりです。非常事態宣言の発令を待ってましたとばかりに感染者数が急増。これは非常事態宣言と大幅な自粛要請がまったく感染拡大に効果のないことを証明しているんじゃないでしょうか。私はそう思えてなりません。

 

不安の本質

 

不安とは、未来に対する不確かさから起こるのであり、それは失うことの恐怖とパラレルな関係にあります。

 

つまり、今回のコロナ禍は、いつ終息するとも知れないという未来への不確かさであって、今まで経営者人生として築いていたお店、スタッフ、お客、取引業者などといった事業を形作る総体を失うことの恐怖と、個人レベルで言えば、家や貯金といった財産、仕事での信用と実績を失うことの恐怖とが、連動しているのです。

 

本当に、いつ終息するのかわからない。熱くなる夏場には終息するのではないかと一部では言われているようですが、完全に終息するには抗ウィルスのワクチン開発を待たなければなりません。それは早くて1年、通常なら2年かかると言われています。

 

ということは、たとえ言われるように夏場くらいにいったん終息の兆候があったとしても、根本的な終息ではなく、また涼しくなる秋から再発し、また同じように非常事態宣言の発令で休業要請、外出自粛要請が敷かれるかもしれないのですね。長期戦を覚悟しなければなりません。

 

一時的に借り入れができ、助成金を確保できたとしても、また同じような感染拡大が起き、緊急事態宣言が発令されたら、やっていけるのか、持ちこたえることができるのか、ということが問われているということです。

 

さらに、ここのところ鳴りを潜めている大地震が、またいつ起こるかわからない。さらに台風、集中豪雨といった天変地異だって、またやって来るのではないか。そんなリスクも待ち受けています。だって100年に一度と言われる災害と、100年に一度といわれる経済危機の事態に、ほんの10年の間で私たちは二度も遭遇しているわけですよね。

 

あなたの事業、持ちますか?

 

危機をいたずらに煽っているのではありません。最悪の事態を想定して今から備え準備しておく。これが経営者が行うべきリスクマネジメントというものです。

 

こういう、まさに未曽有の危機的な時代を経営者は生きているのです。なんとかなるじゃありません、なんとかならないのです。主体性をもって、「なんとかする」のです。

ですが、あえてコロナ禍以外の事態は無視します。本当はいけないんですけど、先へ進みませんので。

 

ここで問われるのは、事業存続のために借入に奔走したのはいいのですが、冷静に考えて、事業は持つのか、ということです。

 

 

あなたに問う真の質問

 

問われている真の質問とはこういうことです。

つまり現在のコロナ禍が、抗ウイルスのワクチンが開発されて1年後か2年後かには完全に終息をしたと仮定してみます。努力の甲斐があり幸運も手伝って、あなたの事業は生き延びることができたとして、終息後の市場は、終息前の市場とガラリと変わってしまっているということが想定できていますか? ガラリと変わってしまった市場であなたはやっていけますか?という質問なのです。

 

どういうことか?

 

【1】パラダイムシフトその1

たとえばリモートワーク。これは働き方改革とも連動していることですが、リモートワークの快適さを知ってしまったことと、リモートワークでも効率的に仕事ができるということが証明されてしまったことです。

 

なにも満員電車に揺られて会社に通う必要はない。通勤時間の無駄が省けるし、すし詰めのストレスもない、交通費の手当ても必要ない。だいいち、全社員を収容できるほどのオフィスのスペースも必要ないと証明することにもなってしまったというわけです。このように、固定費の削減ができて、なおかつ仕事の生産性は変わらないことがわかってしまった。これからは、リモートワークができないような企業は希望する就職先の対象から外されてしまうでしょう。

もう、元の就労スタイルには戻れないでしょうね。

 

そして学校。オンライン授業が定着してしまって、学校まで通う必要はなく、学校も校舎を含めた敷地も今までの広さは必要ない。学習塾においても事情は同じです。

 

となると、今までサロンの立地として優位に働いていた条件、つまりオフィス街であったり繁華街であったり、スーパーやショッピングセンターのインショップであったりが意味をなさなくなります(インショップなんて施設そのものが休業状態ですから、実質売上はゼロです)。とくに飲食産業は大打撃です。オンライン飲み会のメリットを知ってしまったから、だれも飲食店へ行こうと思わなくなりました。

理美容室も同じように、今回の外出自粛で痛いほどそれは証明されたことです。

これが、パラダイムシフトその1です。

 

【2】パラダイムシフトその2

もちろん、この4月、5月はなんとか持ちこたえたとしても、6月以降はサロンはバタバタと潰れます。自主廃業も破産も含めてです。

当然、潰れたサロンのスタッフは職を失います。職を失った理美容師の再就職をあっせんする業者が出てくるでしょう。ここで、人手不足は一段落すると思います。

 

破産するサロンの特徴は固定費の圧迫です。なかでも人件費です。たとえば売上が月ベースで500万円あったとします。営業利益が10%の優良なサロンであったとして、50万円です。ということは、経費で450万円かかるということです。うち、固定費が大半を占めます。

ところが、売上が7割、8割減となります。今回の事例では、この3月以降、売上が急減してしまった、そういうサロンが多い。となれば、売上は8割減として100万円ですから、450万円-100万円で、350万円の赤字です。内部留保でも借金でも内容は問いませんが、売上2カ月分の現金(1000万円)があったとしても、3カ月で資金ショートします。完全休業なら資金ショートはもっと早くやって来ます。

 

こういう例がじつに多い。いや、この原稿を書いている今は現在進行形で進んでいますから、そうだというはっきりした証拠はないのですが、事実は冷酷です。このように進みます。

 

つまり、職を失った美容師、理容師が大量に輩出されます。人材不足の問題は一気に解消、むしろ人余り現象が起こります。

ここで加速されるのは、フリーランス美容師(シェアサロン)や業務委託美容師の増加です。稼げない個人はやっていけない時代の到来です。稼げるまで店に雇用し続ける余裕はサロンにはすでになくなっています。よって新卒理美容師は金の卵ではなくなりますし、むしろ稼げない人間として不良債権化します。これでは雇用はできません。

すると、理美容の養成学校の授業内容が変わってきます。変わらざるを得ません。即戦力の理美容師を輩出する、名実ともに「養成」学校になります。

パラダイムシフトその2です。

 

【3】パラダイムシフトその3

反面、今回のコロナ禍で、イヤというほど理美容ビジネスの危うさを思い知ったことでしょう。それはフロービジネスそのものが持つ危うさです。つまり、施術する側とされる側、両者がそろって初めて成り立つビジネスの危うさのことです。リモートワークでは成り立たない仕事であり、お客様の来店があって初めて成り立つ仕事でもあります。

一度、こんな外出の自粛をされたら、それだけでビジネスが成り立ちません。

そこで、フロービジネスからストックビジネスへの転換が求められます。

 

言いたいことがあります。フロービジネスなのに、あえて業界は違ってもフロービジネスへと参入する人(した人)が後を絶たないことです。一時(今でもそうですが)飲食へのチャレンジが典型的でしょうか。

私はいち早く警鐘乱打しました。そんなことはやめなさい、フロービジネスの不安定さから、さらに不安定な飲食へ参入したって勝算はないと。でも、私の声なんて聞かず届かず、結局見切り発車してしまって、結果、今はどうですか。本業の利益を食いつぶし、これではダメだと撤退の嵐ですよね。言わんこっちゃない。まったく市場が見えていないんですよ。いや、市場をナメてかかっていたのです。本業での小さな成功に舞い上がって。

 

また、最近ではこんな例があります。セルフ・エステの店を出すと。そんな話が降ってわいたように起こりました。いくら施術は器械が代わりにやってくれるとして、フロービジネスであることに変わりはなく、来店はお客様の気分次第、財布次第であることにも変わりありません。

機器を購入する初期費用は数千万円と膨大で、しかも集客へのキリのない広告宣伝費が必要になります。たとえ採算に乗ったとしても、乗るまでに長期間を要し、資金の回収は困難で、その前に資金ショートする確率が高い。だから、おやめなさいとアドバイスしました。

アドバイスに従った経営者は何人かいました(彼らは今頃Suzu Masaさんのアドバイスを聞いて正解だったと胸をなでおろしていることでしょう。でも、ありがとうございましたの感謝の言葉ひとつもない。業界特有の非礼さですが)。ところが、当然のように従わなかった人もいます。従わなかった人のセルフ・エステオープンが、このコロナ騒動の時期に重なってしまって、お客は集まらず赤字の垂れ流し状態です。本業である美容室の利益を食いつぶし、本業もろとも倒産の危機を迎えています。

 

繰り返し言います。フロービジネスからフロービジネスへのチャレンジはおやめなさいと。フローではなく、ストックビジネスへの転換をお勧めしたいのですよ。

それも、以下の条件に合致するビジネスです。

 

  • ストックビジネスであること
  • 初期投資がかからないこと
  • 固定費がかからないこと
  • 高い粗利益が見込めること
  • 在庫を置かないで成り立つビジネスであること
  • リピーターが期待できること
  • 本業との相乗効果が期待できる事業であること

 

考えてみればたくさんあります。私のクライアントさんだけが共有していることで、その事業内容は明かすことができません。明かしたところで感謝もされないのがオチですから(皮肉です)。ちゃんと情報にお金を払うというリスクを取った人だけが所有できる権利です。

また、あれだけ上位のお客様に、こういうときこそ手紙を書くべきと訴えたのですが、ほとんどの人が実行しません。このブログはタダで読めるだけに、タダで読める気安さからか、それだけ信憑性がないと判断するのでしょうか。だから、まともに取り合わない、実行しようとしない。だとしたら、無料のブログ自体、考え直したほうがよさそうです。発信の仕方を変えよう、本気でそう思っています。

 

よしましょう、よしましょう、キリがないです。

 

フロービジネスからストックビジネスへのチャレンジ。これがパラダイムシフトその3です。

 

【4】パラダイムシフトその4

次に、本業の見直しについて。

リモートワークをしていくなかで、生きるうえで何が大切かよくわかったと思います。それは人と人とのダイレクトなコミュニケーションの大切さです。

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人間同士、繋がりを求めている

 

歴史を見ても明らかです。戦後、大家族主義が崩壊し、核家族になりました。経済の東京一極集中が地方から働き手を東京に集中させたのです。そこで大家族が崩壊するのに代わって、会社がその役割を担いました。住む場所を提供したのは団地です。

会社は疑似家族としてその機能を発揮し、また社員は会社への帰属意識が当然のように高まったのです。日本経済の強みを象徴する三種の神器が、終身雇用、年功序列、企業内組合です。「ジャパンアズナンバーワン」と世界に畏怖されました。ほんの少し前のことです。

 

それがグローバリズムの進展により、終身雇用は崩壊し、年功序列よりも実力主義がもてはやされ、もはや組合の組織率は目を覆うばかりの惨状に陥っています。

 

つまり、会社は大家族主義の役割を放棄したのです。同時に、日本の強みが失われました。そんななかでのコロナ騒動とリモートワークの推進なのです。

 

孤独になって仕事をこなす。そんな精神性は日本人にはまだありません。だから、精神を病みます。これ以上の孤独感に耐えられるストレス耐性を日本人は持ち合わせていません。

 

そこで、どういうことが引き起こされるか?

 

自分を必要としてくれる人と場所と時間を求めるのです。もっとはっきり言いましょう。みずからの精神の危機感(この場合、飢餓感と言ったほうが相応しいか)が、まるで乾いた砂が水を吸い込むように欲するのです。

 

これを人間性の回復」と私は勝手に命名しています。

 

身近で、コストがさほどかからず、自分自身が自分自身でいられる場所、それが美容室なのです。自分自身でいられる安心できる相手、それが美容師さんなのです。

 

こういうことです。お客様の存在をまるごとそのままで受け止め受け入れる。それが美容室の最大の付加価値になるのです。人間性回復の最前線に位置するところ、それこそ美容室の役割であり、人間性を回復することこそが事業の最大の目的になるのです。

 

技術ではない、メニューの豊富さではない、料金の安さではない、最大の価値は、お客様が人間性を回復する場所を提供すること。それが美容室の最大のウリであり、社会貢献できる最大の価値なのです。

パラダイムシフトその4です。

それでは「人間性回復のビジネス」へ向けて具体的にどう取り組むのか?

また安易に言ってしまうとまともに取り合ってくれません。だいいち、具体的に語れば語るほど、訳がわからなくなってくる。そういう性質のものです。人間心理に深く根差したやり方ですから。

簡単にはいかない。これだけは言っておきます。しかし、それを確実に実践したら、とんでもないことが起こると。

 

 

変化にふひるむな、

おびえるな。

むしろ、

自分自身が変化を引き起こす

当事者となれ!

(Suzu Masa

 

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初出掲載:2020 年3 月19 日