Suzu Masa ブログ

辛酸なめた男が美容室「経営」をリアル・ガチで語る

【経営の原理原則】シリーズ⑧~⑫

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売上予測が5%と狂わない

 

 【経営の原理原則】その⑧

「理美容業はフロービジネスの典型。それをいかにストックビジネスへとシフトしていくかで経営の安定性は高まる」

 

理美容業は典型的なフロービジネス。言ってみれば、来店するかしないかは、たとえ予約制度が生きていたとしても、お客様のその日そのときの都合任せ、気分任せ、天候任せに左右されてしまい、安定するものではありません。

 

(株)田谷が美容室で初の株式の上場をするにあたって決定打となったのが、月売上が5%と狂わなかった、売上予測の正確性と予測に裏打ちされた経営の安定性によるのです。つまり同社では業界で初めて“賞美”期限(提供したヘアスタイルの維持保証期間)を設けて次回の来店管理を美容室主導で行ったことなのですね。

 

つまり、フロービジネスからストックビジネスへシフトするには、

・固定客の割合をいかに多くするか。

・さらに固定客からファン客へといかにシフトしていくか。

・また次回来店をお店主導でいかにできるか。

にかかわってくるのです。

 

もちろん、他の、まったく新しい新規事業でのストックビジネス(たとえば顧客情報をもとにしたECサイト構築や異業種とのアライアンスなど)への展開もここに含まれます。

 

現在のサロン業績の差は、このストックビジネスへいかにシフトできているかの差。

既存客との関係維持・強化に真剣に取り組みましょう、って何度も申し上げていることですが。

 

 

イノベーションは他者依存ではダメ

 

 

【経営の原理原則】その⑨

イノベーションは、製品や技術で引き起こされるのはマレ」

 

ドラッカーは「イノベーション7つの機会」として、新しい知識、つまり新しい製品や技術によって引き起こされるイノベーションの機会は一番低いと言っています。

 

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これは簡単に納得できることです。

こんな新しい製品が開発されたと言っても、開発者であるメーカーはシェアナンバーワンを企業論理として持っているわけで、どこよりも早く新製品を導入したお店であっても先行者利益はわずかな期間に過ぎません。それが良いものであればあるほど一気に業界に普及してしまって先行者利益はなくなります。

結局、どんな技術であれ製品であれ、やがて業界に普及していけばそれが業界標準(スタンダード)となってしまって、イノベーション効果はすぐに失せるのですね。

 

製品や技術に依存していては、最後に痛いしっぺ返しを食らいます。

理美容室をテストマーケティング出先機関と位置付け、何度も利用され、最後にはハシゴを外されてパブリック市場へと流れていった事例は枚挙にいとまがありません。

 

ではどんなイノベーションの機会があるのか。それをどうやって見つければよいのか。

簡単なことです。ドラッカーイノベーションの7つの機会、その2番目に掲げてあることですが、理想と現実のギャップが存在するところはすべてイノベーションの機会があるということです。

たとえば、人の採用難、集客難。ここのギャップをどうやって埋めるか、その解決策こそイノベーションにほかなりません。

 

 

経営者の「器」とは?

 

 

【経営の原理原則】その⑩

「組織は経営者の器以上に大きくなれない?」①

 

なぜ「?」マークを付けたのかというと、一見真実のようでじつは真実ではないからです。

長くなるので、①②に分けてお伝えしたいと思います。

 

経営者の器を形成するには「技能力」「戦略立案・コミュニケーション力」「人間力3つの「力」が必要と言われています。(※それぞれの力についての説明は省く)

そして、器を大きくする順番は「人間力」→「戦略立案・コミュニケーション力」→「技能力」。

 

技能力は本来、スタッフが仕事に使うスキルで、このスキルをいくら磨いたところで社長の器は大きくなりません。それどころか、技術者同士のプライドが働いて、自分よりスキルが上のスタッフを排除さえします。ナンバーワン売れっ子スタイリスト=社長という見事な図式が出来上がります。

こうなると、一技術者の器以上に組織は大きくなるものではありません。こういうケースは技術主導の業界であるからか、数え切れないほど多くの実例にぶつかります。

 

次に「戦略立案・コミュニケーション力」。このスキルは、思考力や行動力といったように、ビジネスの構想力や人を動かす行動力に深くかかわるスキルです。経営者の器を大きくするには、一定レベルまで磨く必要があります。

このレベルの経営者も少なからず存在します。

 

しかし、最後の「人間力」、これが経営者の器を大きくする必須の要素となるのです。哲学や価値観、志、信念や基本的ポリシー、度量や徳性といった、その人間の有り様を表すヒューマンスキルのことで、他者への影響力に大きくかかわるスキルなのですね。

 

だから、人間力を磨けば磨いただけ経営者の器は大きくなります。大きくなればなっただけ組織は大きくなるというわけです。

 

では、どうやって経営者としての器を磨けばよいか、次でお伝えしますね。

 

 

【経営の原理原則】その⑩

「組織は経営者の器以上に大きくなれない?」②

 

どうやって経営者の器を磨けばよいのか。

経営者の器を磨く必須の要素として「人間力」を挙げました。人間力とは、哲学や価値観、志、信念や基本的ポリシー、度量や徳性といった、その人間の有り様を表すヒューマンスキルのことでしたね。

 

人間力を磨き上げるためには、「無知の知」を徹底的に実践することだとしかるべき指導書には書いてあります。

 

たとえば『論語』には「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす。これ知るなり」という、私の大好きな言葉がしたためられています。無知であることを自覚することで謙虚に学びの姿勢が取れる。謙虚に学べば学ぶほど無知を克服していって、確実に成長をしていくということ。

 

トップであっても驕ることなく、素直な気持ちで無知の知を実践していくと、物事を本質的にとらえることができるようになり、ぶれない哲学や信念が身に付き、志が醸成されるということです。

また、人の苦労やモノの価値も正確に理解できるようになるので、裁量や度量も高まっていく。

 

私の経験からも同じことが言えて、つまり謙虚な経営者ほど素直に言うことを聞いてくれて、望む結果が得られています。一方、過去の成功事例が邪魔をするのも大きな要因だと思いますが、謙虚ではなく、学ぶ姿勢に欠ける経営者は、真逆の結果を招いています。

 

人間力が大きくなると、自然と経営者の器も大きくなり、経営者の器が大きくなるほど、優れた異能の人物が経営者の周りに集まるのですね。

 

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの墓碑銘にはこういう言葉が刻まれています。

「おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男ここに眠る」

 

これが経営者の器以上の組織になれることの秘訣です。

このレベルの人にはなかなかお目にかかれないのが現実です。

私の交友範囲で言うなら、はっきり言って、五指に余ります。

 

 

野心と志との決定的な違い

 

 

【経営の原理原則】その⑪

「組織は頭から腐る」

 

事業再生のプロ中のプロである冨山和彦氏に言わせれば、経営の悪化した企業に共通していたのは、「一流の現場を持ちながら、経営が三流だった」ということだそうです。

 

経営のトップに上り詰めれば、誰も意見を言わなくなる。それをいいことに、いつの間にか裸の王様になってしまいます。

やがて現場とのズレ、市場とのズレを来していることに気付かなくなって経営不振に陥ります。

 

そして不振の原因を、他人のせい、時代のせい、環境のせいにする。ある大企業のトップが報道陣から責任をしつこく追及されると、「私だって全然寝ていないんだ」と声を荒げて抗議したのは有名なシーン。これなど典型的な原因他人論ですね。

 

すべての原因はトップである経営者自身にあります。

ビジネスで問題にぶつかれば、それは自分自身が問題を作ったということ。

スタッフの離職や意思疎通の悪化、相互不信など人間関係の問題にぶつかったなら、それはあなたが人の扱い方をわかっていないから。

資金繰りに窮するなら、お金について何も知らないから。

集客が思うようにいかなければ、それはマーケティングを知らないから。

顧客の問題なら、顧客を理解していないから。

すべては外側ではなく内側の問題。内側のトップである、あなたの責任。

 

また、腐る原因にはこういうのもあります。

私利私欲の野心でビジネスに携わっていること。

野心とは、自分のため。

志とは、世のため人のため。

 

残念ながら、私が数万人の経営者にお会いしてきて言えることですが、圧倒的に「野心」の人が多いように思います。口では志を言っていながら。

 

「利によりて行えば、怨み多し」(論語

私利私欲で行う野心的な事業は、他人から怨みを買い、結局長続きしない。

 

現代のわが国にも、立派な経営者の言葉があります。

「動機善なりや、私心なかりしか」(稲盛和夫

 

経営者としてひたすら人間を磨くことですね。寸時も休むことなく。

そんなの面倒臭いと言うのであれば、ストレートな言い方をします、それなら経営者をおやめなさい。そう言いたいですね。

 

 

理想のお客様の集め方

 

 

【経営の原理原則】その⑫

「顧客は誰か?それは上位2~3割の上位客が知っている」

 

ドラッカーの「経営者に贈る5つの質問」の1つ。あなたのお店の顧客は誰か? どういうお客様があなたのお店の理想のお客様か? 理想のお客様を見つけ出す方法は? 見つけ出せたら、どういう方法で集客すればよいのか?

 

すべての答えは現在の上位客が持っています。だから上位客に謙虚に聞けばいいのです。「こんなに多くの美容室があるなかで、どうしてうちのお店に通ってきてくださるのですか」と。あなたの経営のお役に立つことだったら、そこは上位客のことです、積極的に語ってくれるものです。

 

通い続ける理由は、丁寧な接客と的を得たカウンセリングかもしれません、気に入ったカット技術かもしれません。それらの声を集めてひとつの文章にまとめる。これがキャッチコピー。もっと言えば「USP」となります。

 

そして、上位客が住まう地域はどこか。その地域は他とは違った特長があるはずです。そう、上位客が住まう地域であっても、まだあなたのお店の存在さえ知らないし、来店していない人が圧倒的に多いはずなのですね。

そういった地域をデータ抽出する無料のやり方があります。以前にも何度か説明した郵便局のGISのことです。このシステムを使って集中的にチラシポスティングするのです。アナログなやり方とバカにしてはいけません。想像以上に効果が大きいですから。さらにGoogleマイビジネスを駆使すれば効果は倍加します。

 

これが、あなたのお店がぜひ来てほしいという潜在客に確実にリーチする方法です。

大切な集客を他者依存にしていてはいけません。コストばかりがかさむし、そんな方法では、理想のお客様には振り向いてももらえないと思ってください。

 

≪つづく≫

 

「死んだときに墓場で一番のお金持ちになりたいとは思わない。

私にとって重要なのは、眠るときに自分たちの素晴らしいことをしたと言えることだ。」

スティーブ・ジョブズ

 

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初出掲載:2020 年3 月19 日