すでに無理ゲー?
IKKOさんじゃありませんが、経営者の仕事って「どんだけ~!」ってことで思いつくままに書き出してみました。
・事業についての検証をする(月次・年次・短期・中長期)
・事業全体の目標を設定する(経営計画)
・目標達成するために意思決定を行う
・意思決定の内容を経営幹部全体に理解させる
・経営幹部に会社全体を見渡し、自らがやるべきことを考えさせる
・経営幹部の仕事にフィードバックを行う
・経営幹部に、評価基準を設定させる
・経営幹部に、部下の仕事の評価に当たらせる
・経営幹部の人事について意思決定を行う
・後継者や次期経営幹部の育成を行う
・社員のモチベーションを高める
・人事の意思決定を行う
・新規事業や新商品についての意思決定をする
・投資や資金調達について決定する
・商品・サービスの価格を決裁する
・取引業者との打ち合わせと情報収集をする
・新入社員や若手幹部との懇親を行う
・次期社員の採用計画を練る
・集客の方法を検討・修正する
・社員離職の対応をする
・大口客からのクレームに対処する
・対外的な活動や、業界の集まりに出る
・従業員の冠婚葬祭に出席する
・経営スキルアップのために勉強をする
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数え上げれば限りがありません。
まさに「どんだけ~!」ですよね。
たった1人の人間がやることは可能でしょうか? 仮に、このすべてをやり遂げられる超人的な人間がいたとして、その1人が激務を続けて何年持つでしょうか。
そのうえでなお、サロンに出てお客様をこなしているとなると‥‥
ハッキリ言って不可能です。
「無理ゲー」です。
廃人同然になります。
断言できます。
なぜって、かつての私がそうでしたから。
365日間働いて、睡眠は平均3~3時間半。雑事に追われ、半覚半睡で仕事をこなす。これを23年間やってきて、とうとう精根尽き果てて会社をたたむことになったからです。
ここで教訓です、会社は借金では潰れません、気力体力がなくなって潰れるのです。
こんな綱渡りのような経営を一日も早く脱しなければなりません。経験者だからこそ忠告します。
あなたの「右腕」は?
それには、当ブログでお話したように、トップ・マネジメント・チームを作ることです。
ドラッカーはこう言っています。
「経営者の仕事は、その範囲、必要とされているスキルと気質、仕事の種類において一個人の能力を超える。経営書や組織論が何と言おうとも優れた経営を行っている企業にワンマンはいない。それらの企業はCEOのチームをもつ。」
「CEOのチーム」とはトップ・マネジメント・チームのことです。そのチームの作り方は「なぜ組織は大きく変われないのか?」で詳しく述べましたので、よろしかったら再読をお願いします。
今回は別の視点からお話しようと思います。
まず、スタッフの中から「これ」と思う右腕を探してください。右腕の条件は、理想を言えば本田宗一郎に対しての藤沢武夫、井深大に対しての盛田昭夫です。本田宗一郎と井深大という技術者の壮大な夢を、本田と井深が苦手であった営業と資金繰りで支えたのが藤沢であり盛田なのです。
あなたはあなたで十分素晴らしいのですが、あなたにはない才能と資質の人が望ましいのです。
ここで間違わないでくださいよ。
業界に右腕を養成する塾なるものがありますが、一度その様子を見学する機会があり、驚いてしまいました。右腕の条件を主催者がこう定義したからです。「右腕とは、経営者が黒といえば、たとえ白であっても黒という人だ」と。
こんなバカなことはありません。それでは組織は崩壊まっしぐらです。
間違ったことを経営者が言ったら、それは間違いですと堂々として言える人。これが右腕の条件なのです。
上に挙げた2人の右腕は本田宗一郎に、あるいは井深大に堂々と反論できた人です。そうでなかったら、世界のホンダもソニーもなかったのです。
2人の右腕ばかりでなく、帝王学の古典と言われる『貞観政要』でも右腕の条件は、諫言できる人、と述べられています。諫言とは、諫(いさ)める立場で意見を言うということです。
同書はそんな右腕(重臣)たちの激論を交わす様子が収められています。重臣たちの意見を積極的に採用したからこそ、唐の時代、非常に平和でよく世の中が治まったと言われています。現代においても、理想のリーダー像や組織のあり方、困難な人生を生き抜く方法など、大変勉強になります。お勧めしたい1冊ですね。
経営者として誰と出会うかがとても重要で、間違った人の意見を聞いてその通りだと納得してしまったら方向を誤ります。これだけは注意しておきたい。
どうですか、右腕の候補は見つかりましたか?
決めつけなくて構いません。あくまでも“候補”ですから。その候補と膝を突き詰めて話し合ってください。あなたのミッションとビジョンを。いくらあなたと異質な能力を持つ人であるからと言って、ミッション、ビジョンに腹の底から賛同できない人は候補から脱落します。
あなたが掲げたミッション、ビジョンに腹の底から賛同できる人。そしてミッション、ビジョンを実現させるために戦略を描くのですが、この部分で意見の衝突があればいい、いや、あればあるほどいいと思います。なぜなら、互いの資質が異なるからで、意見の衝突がやがて両者の違いを超えて、それまで考えもつかなかった素晴らしいアイデアが生まれるからです。これを哲学用語でアウフヘーベン(止揚)と言います。
アウフヘーベンこそ、じつはイノベーションを起こすときの必須の考え方となります。(アウフヘーベンについてはまたの機会に詳しく説明しますね)
また議論の果てには互いの尊重が生まれます。
そんな候補はいない。いたとしても時間がかかる?
そうです、短兵急には人は育ちません。
という場合は、手前みそになりますが外部からコンサルタントを迎え入れればいい。そう思います。不得手なところであれこれと思い悩むのは時間と労力の無駄。『金持ち父さん貧乏父さん』にもあるように、不得手なところを専門家に託す。それが成功を手にできる近道です。
そして、あなたはあなたの得意分野に全力投球すればいい。
経営者の仕事は、その範囲、必要とされているスキルと気質、
仕事の種類において一個人の能力を超える。
経営書や組織論が何と言おうとも
優れた経営を行っている企業にワンマンはいない。
それらの企業はCEOのチームをもつ。
(ドラッカー)