Suzu Masa ブログ

辛酸なめた男が美容室「経営」をリアル・ガチで語る

器量と度量

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器量と度量の違い

 

リーダーシップの資質を云々する場合、「器量」「度量」という言い方があります。

「器量」とは、仕事における対処能力のことであり、「度量」とは、他人からの批判でも、他人の失敗でも、受け入れる心の広さのことです。

 

陰陽で考えると、陽の力が器量、陰の力が度量です。

 

さて、リーダーに相応しいのはどちらの資質かというと、そうです、度量です。

器量優先で会社のトップになったり、組織の長となったりすると、自分自身、仕事ができるだけに、できない人を見るととても我慢がならなくなります。こんなこともできないのかと、できない人を軽蔑します。それが大きな威圧感となっていきます。

そんなリーダーには人がついていけず、人心が離れていってしまいます。

「名選手、必ずしも名監督ならず」とプロ野球で言われているようですが、典型的な例でしょうね。

 

一方の度量です。

人の能力を活かし、人を育てるのは度量です。

リーダーは、度量という陰の力を育てることにおろそかであってはなりません。

 

人間一人の力には限りがあります。人間一人の能力ではたいしたことはできません。衆知を集め人の力を活かすという謙虚な姿勢でマネジメントする力が欠かせないのです。つまり、度量の人が必要なのです。

 

有名な項羽と劉邦

器量にまさっていた項羽(こうう)は度量にまさっていた劉邦(りゅうほう)に最後には負けてしまいます。

項羽はまさに鬼神のような武勇で連戦連勝する戦の天才。一方の劉邦は、戦の才はまったくなくてもおおらかな人柄で推戴されて漢帝国を興すことになる度量の人です。

 

仕事のできる人の問題点

 

能力主義や実績主義を重要視するあまり、仕事のできる人をセクションの長(たとえば店長や人の上に立つ役職)に据えると問題が発生します。

私の経験から申し上げて、そういう例には残念ながら多く出くわします。

多店舗展開している会社のある店長のいる支店では、際立ってスタッフの離職が絶えないということがありました。

社長、そしてその店のスタッフへの聞き取り調査をしました。なんでもその店長は部下の失敗は許さず、かける言葉はきつくなる。時として、本人にそんなつもりはないのでしょうが、人格否定にも等しい言葉を吐いてしまう。

よく吐かれる言葉が「こんなこともできないのか、美容師失格!」です。

これでは労働審判に訴えられでもしたら、パワハラモラハラで100%敗訴でしょう。

 

原因は、仕事ができるという器量を優先した店長職への人事とわかり、社長の了解を得て、説得の上、技術職のトップとして相応しい名誉の役職を与えて店長から降りてもらいました。

後任に据えたのは、仕事の成果はそれほどでなくても、度量が大変まさった人です。

そのお店はそれ以来、離職するスタッフは出ることがなくなりました。

 

誰を登用するか?!

 

成果主義が言われ、成果主義人事が横行すると、同種の問題が発生します。ことに最近、経営的に余裕がなくなっているせいでしょうか、同じような例が多くなっている気がします。

 

つまり、器量よしの才人を登用するのではなく、才よりも徳の優れた人、つまり君子を登用することに尽きるのですね。それが組織マネジメントの要諦です。

 

 

「才徳全尽(さいとくぜんじん)、之(これ)を聖人といい、才徳兼亡(さいとくけんぼう)、之を愚人という。徳、才に勝つ、之を君子といい、才、徳に勝つ、之を小人という。凡(およ)そ人を取るの術、苟(いやしく)も聖人君子を得て之に与(くみ)せずんば、その小人を得んよりは愚人を得んに若(し)かず。」

司馬光資治通鑑』)

―才と徳が完全なる調和をもって大きな発達をしているのが聖人である。反対に、これが貧弱なのが愚人である。およそ才が徳に勝てる者は小人といい、これに反して、徳が才にすぐれている者は君子という。

人を採用するとき(あるいは登用するとき)は、絶対的に君子を採って、小人を排すること。小人を採るのであれば、むしろ才のない愚人を採るほうがよい。

 

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初出掲載:2020 年3 月19 日