広告宣伝費の目安は?
[2]広告宣伝費の肥大化
美容室経営5つのNG、今回は[2]広告宣伝費の肥大化です。
広告宣伝費はいくらが相応しいのか。目安はありません。よく売上に対する広告宣伝費はいくらか、なんて他店の数値に関心を持ちますね。また、〇%が適切だなんてしたり顔で言うコンサルもいますが、はっきり言って無意味です。
答えはいくらでもいいのです。
「そんな無責任な!」と非難の声が上がりそうですが、この際まったく無視します。
こう言っては元も子もないので、しっかりした指標を紹介しましょう。
ROASという広告効果をはかる指標
それは「ROAS」という指標です。Return On Advertising Spendのそれぞれ頭文字を取ったものです。要するに「広告費用回収率」のことです。
求める数式は以下の通りです。
ROAS=広告からの売上÷広告費×100% |
たとえば広告宣伝費に50万円使ったとします。その効果で来客数は100人あったとします。客単価は7000円としましょう。
100人×単価7000円=700,000円(広告からの売上)÷広告費500,000円×100%
ROASは140%となりますね。つまり140%の広告費回収率になったということです。広告費1円当たり1.4円の効果があったということです。
な~んだ、たいしたことないじゃないか、とあなたは思われるかもしれません。そうなのです、これだけ見ればたいしたことはないでしょう。でも、大事な視点を忘れています。たいていのROASの解説書はこの視点を忘れているから、正確なROASがわからないのです。わからないから、苦労したわりには報われなかったとすぐ諦めてしまうのです。
欠落している大事な視点
ちょっと待った!と言いたい。忘れている大事な視点とは「リピーター」のことです。たった1回の来店で100%のお客が二度と来ないということは現実的にあり得ないからです。
そうです、リピーターが一定割合で存在します。これを考慮に入れなければならない。
どうでしょうか、リピーターの割合が50%存在すると考えてみましょう。再来店して50%のリピート率、3回目の来店でさらに50%のリピート率、さらに4回目で50%のリピート率と、単純すぎますがわかりやすいので、そのように仮定します。
すると、こういう計算が成り立ちます。
新規来店100人(A) 2回目来店(100人×50%)=50人(B) 3回目来店(50人×50%)=25人(C) 4回目来店(25人×50%)=12人(D) |
これを単価7000円で計算すると
100人×7000円=700,000円(A)
50人×7000円=350,000円(B)
25人×7000円=175,000円(C)
12人×7000円=84,000円(D)
となりますね。これをROASの数式に当てはめれば
(A+B+C+D)÷500,000円×100%=262%
広告効果は、50万円の投資で262万円の効果があったとなります。これが正しいROASの計算です。4回目でリピート率の計算をやめたのは、今の美容室では有名な「3回固定の法則」では成り立たず、「4回固定の法則」が実情に近いためです。3回続けて来店すれば固定客になるのではなく、4回続けて来店して初めて固定客になる。つまり、上の計算式では4回目に残った12人がそのまま固定客になってくれるというわけです。
判断基準を持たずに広告費を決める危険
ところが美容室のROASの実態はどうか?!
私から言わせれば、巨大集客サイトにバカ高い広告費を取られながら、広告効果はリピーターを考慮に入れても、かけた費用ほどに得られない。ましてリピーター率20%程度ではお話にならない。であれば、すぐにでも広告ストップするべきです。
なに? 年間契約だからすぐにはやめられない? それは法律上、問題あると思いますよ。公正取引委員会に相談すればいいと思いますけどね。
では、貴重なお金をムダな広告費に使わないで、理想的な使い方をしてください。その使い方は以前当ブログで「間違いだらけのサロン集客」としてお話しています。参考にしてください。
そして、けっして巨大集客サイトに頼らない広告宣伝の仕方をお望みなら、私はいつでも相談に乗ります。私のメールアドレスは masasuzu2811@gmail.com までお気軽にご連絡くださいね。
とにかく、適正な広告宣伝費はROASによって求められます。同じROASでも、上に紹介したような正しいROASの計算式で求めてください。過剰な広告宣伝費とは、集客して売上効果があった数値以上の費用=「費用>効果」のことです。効果がないとわかったら即刻中止。他の方法にチャレンジしてみることです。これ以上の「待った」は許されませんから。
次回は [3]メニューの多様化 です。
人生における悲劇は、目標を達成しなかったことにあるのではない。
それは、人生に目標を持たなかったことにある。
(ベンジャミン・メイズ)